くゆらせている紫煙から徐々に視線を落とせば帽子が見える。す、と足を進めて彼の前に立てば鋭い緑色の瞳を遥か上空(その高さ約30センチ)に確認。今日も今日とでお変わりなく、あたしの身長は伸びてないし彼の身長も伸びてないらしい。(もしくはあたしの身長も彼の身長も一緒くらいに伸びたということだ。もしそうだったら笑ってしまう。もちろん、幸せに)何か文句を言うわけでもなく、怪訝そうな色をはっきりと浮かべてあたしの睨みつける彼は美しい。「承太郎は、きれいだね」そう言うと、更に顔が顰められた。どうやら彼は綺麗という言葉が嫌いらしい。(どっちかといえばかっこいいと言われたいのだろうか。まさか!!)ぎゅ、と寄せられた眉間の皺すら色気を纏っているように思えた「承太郎」名前を呼ぶ。口で反応は示さなかったけれど、視線がはっきりと「何だ」と言っていた。それを感じ取って、なんとなくくすぐったく思いながら続きを口にした。「好きだよ」戯れによく似ている言葉(むしろ戯れそのもの)に彼は一つも表情を変えなかった。あれ、と思ったのも束の間。次の瞬間には腕を取られ、引き寄せられていた。そのまま抱き留められて、身長差により酷く上を向かなければいけないキスが一つ落とされた。彼が屈んでくれているのは分かっているのだけれど、きついものはきつい。苦しさに薄く目を開ければ、そこにはきれいな緑があった。まるで宝物のような、それ。目を閉じないあたしがおかしかったのか、唇の動きで承太郎が笑ったのが分かった。「笑わないでよ」咄嗟に出た一言に、承太郎は悪そびれた感じもなく「やかましいぜ、とだけ(やけに楽しげに)言って、本日二度目のキスを降らせた。(少しずつ奥に入り込んでくる熱に視界が歪む。ああ、食べられてしまう)ふうわり、と薫る紫煙に頭がぼんやりしてきた頃、承太郎の右手から煙草が落ちたのを感じた。



(ならきっと承太郎はワンダフルボーイ)


(080312//承太郎//カノたんにメールであげたのに修正加えました)