「ねぇ、なんで抵抗しないの?」


あたしの真下にいる男にそう投げかける。すると男は、さして戸惑うわけでもなく、淡々と「そんなことしたって、おめーが喜ぶだけだろうが」そう言った。「よく分かってるね」あたしは笑って、仰向けになっている承太郎の胸らへんに馬乗りになっている体勢から、少しだけ前に身体を傾けた。そのまま重量に従って、承太郎の顔の横に両腕をつける。顔が近い。さらり、とあたしの髪が彼の頬を掠ったのが見えた。それでも抵抗しない承太郎に、満たされなかった欲求が膨れ上がった。


「つまんない」
「なら退け」
「やだ。仕返ししてよ。お仕置きターイム」
「やなこった」
「……根性悪」
「フン、お互い様だぜ」


そう言って、彼は嘲笑に近い余裕な笑みを浮かべた。それが面白くなくて、なるべく強引に承太郎の口付ける。けれど、それさえも予想していたのか、承太郎が苦しそうに瞳を歪めるのを見ることはできなかった。(ああ、面白くないッ)まったくもって嫌な男だ。一体、何処でこんなことを覚えてきているのだろうか。ぼんやりそう思って、眉間に皺を寄せた。(なんであたしが顔を歪ませなきゃいけないの)更にイラついた拍子に、がちん、と歯がぶつかってしまった。痛い。ちゅ、と彼の下唇に軽いリップ音を響かせて離れると、承太郎は呆れたような、面白そうな顔をした。


「やれやれ…。下手くそだな」
「うっさい。ちょっとぐらい痛い方が気持ちいでしょ」
「生憎だが、俺はおめーみたいなマゾじゃあねーよ」
「そうだね。承太郎はサドだよね」
「分かってんじゃねーか」
「けど、今日はあたしが上」


がりり、と承太郎の鎖骨に噛み付いた。(なんで女のあたしより綺麗な肌をしているのか、本当に分からない)流石に予想外だったのか、彼の体が僅かに跳ねた。とても僅かだったけれども、少なからず承太郎を動揺させることができたらしく、なんとなく嬉しくなった。ふふっ、と笑えば、不機嫌極まりない視線があたしを突き刺さる。それでも、原因が原因のため、悪そびれた様子もなく笑い続けるあたしは更に強く睨みつけられた。


「そんなにきもちかった?」
「やかましい。調子にのってんじゃあねーぜ、
「あは、うそつき」


もう一度、彼の首筋に噛み付こうとしたその瞬間、承太郎が上にいた。あまりの突然さにくすりと笑いが零れた。ナイスタイミングなのか、そうじゃないのか、まったく分からない抵抗をしてくる。その異常なまでの突然さに、彼がどのような抵抗をしたのかがすぐに分かり、もう一度笑いを漏らした。


「スタンド使う程、嫌なの?」


その言葉に、次は承太郎の唇が歪んだ。


「違うな。お前の望む通りにやっただけだ」
「…は?」
「抵抗、してやったぜ」


「そんなの、ずるい」「間違ってねーだろが」そのときの承太郎の勝ち誇った顔と言ったら、言ったら。絶対一生忘れられないような、憎たらしい笑顔だった。自分の優勢から一気に突き落とされ、悔しくなった。そうして唇を重ねてくる承太郎には、もちろん、頭突きを一突きお見舞いしてやった。





ロマンチストにはなれない




(080320//承太郎//カノたんに送ったのを修正。お盛んな承太郎万歳!)