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じわじわと肌を這う承太郎の指に唇を噛む。時折肌に落とされる口付けに抗らう術は皆無であるために、シーツを強く握るしかない。彼はいつだってそうだ。全てを分かっていて抑え込む。長い腕はあたしの両手を捕まえて離さない。 「っぁ、は、」 「唇、噛むんじゃあねーぜ」 「誰のせい、だとっ」 ふとあたしの唇に触れた彼の指の温度があたしよりも低いことに少しだけ悔しさを感じた。あたしばっかり熱が上がるのは悔しいのだ。結局はあたしばかり、承太郎に強請ってしまうのは、悔しい。ぐ、とまた唇を噛めば「人の話、聞いてねーのか」と耳元で囁かれた。低い声に身体が跳ねる。(ああ、もうどうしようもない) 「ふ、じょ、たろ」 「ん、」 「ッや!!」 がり、心臓の上に噛み付いた彼に思わず声を上げる。そんなあたしを見上げるようにして口許に笑みを浮かべる承太郎に、熱がまた上がってしまった。(気がした)盛大に顔を歪め、体が跳ねたあたしに気をよくしたのか、べろりと噛んだそこを舐める承太郎の瞳はこちらを見ている。必然的に上目遣いになる彼に底知れぬ艶かさを感じた。「おめーが俺の言ってること、聞かねーのが悪ィ」噛むな、つっただろ。と承太郎は唇を歪めた。そんなの建前のくせに、という反抗の言葉は口から出なかった。彼の親指が、優しくあたしの唇を撫ぜたからだ。 「、」 呼ばれた名前に両手を伸ばす。くしゃり、と承太郎の髪をゆるく掴めば、彼を抱き込むような形になった。まるで、温かな熱がじわりじわりと侵入して、じりじりとあたしを侵すようで、ひどく目まいがした。ハァ、と吐息を漏らしたあたしに、承太郎はくつくつと笑う。それがまた、なんとも言えずに悔しくて、さっきよりも彼の髪を掴む力を強くした。それすらも面白いのだろうか。彼の笑い声は止まらなかった。それどころか、心臓の真上に再びキスを落とす始末だ。(ああ、狂ってしまいそう)どうしようもなくなって瞳を閉じれば、承太郎の体温を直に感じた。 「熱いな」 「っん、じょ、たろー…」 ぎしり。軋んだベットに顔を上げる。抱き込んでいた承太郎の顔はいつの間にか目の前にあった。緑が滲んで見える。承太郎。もう一度彼の名前を呼ぶか呼ばないうちに、貪るような口付けが降って来た。息が苦しい。それでもまだ欲しい。矛盾があたしを追いかける。それでもまだ、欲せずにはいられなかった。 「ん、ふ、っじょ、たろ」 「なんだ?」 「っ、じょ、たろぉ、」 分かっているはずなのに、与えてくれない彼は意地悪だ。このサディスト、そう悪態を吐ける状況でもないあたしは、ただひたすら彼の逞しい首に腕を回して、懇願するしかなかった。ぎゅ、と彼に抱きつけば、彼も少し汗をかいていた。その瞬間、少しだけ気持ちが楽になった。(承太郎も、苦しいんだ)名前を呼んだまま、荒い息を繰り返すあたしに、承太郎は一旦行為を止め、きらりと光る瞳で問うた。 「何して欲しいのか、はっきり言えよ」 「っじょ、た、」 「俺の名前ばっかり言いやがって…。アホになったのかおめーは」 まぁ、アホは元からだったな。くっ、と笑う承太郎が首筋に口を寄せ、べろりと舐めた。思わず甘い声が漏れたあたしに「椿」更に追い討ちをかけるのは、彼のいつもの手だ。それを分かっているにも関わらず、やっぱり反抗できないあたしは、承太郎の言うとおり、アホなのかもしれない。(それでもいい、なんてこのときばかりは思ってしまう)ハ、浅く息を吐いて彼の耳元に唇を寄せる。呟いたのは彼が望むただ一言。 「いい子だ、」 そのとき、満足げな彼の瞳とぶつかった。確信犯だったんだろうか。だとしたら性質(タチ)が悪過ぎる。ばか。という罵声すら湿った声に変えられて、まぁいいかなんて思ってしまうあたしも同じく、そうだけれど。 夢見がちサンシャイン (080323//承太郎//カノたんに送ったのを修正。それにしてもエロは気合が入ります) |