救済を求め手を伸ばした先に闇
きっとこれからは一人で歩いていかなきゃいけないんだね。そう言ったあたしに彼は少しだけ間を置いてから「今更じゃないか」と笑った。
「やけにはっきり言うんだね。花京院」
「ふふ、ごめんよ。別に傷つけるつもりはなかったんだ。ただ、」
君は誰かを隣に置いているという状態に耐えられないだろうと思って。そういう人間だろう?そう笑った彼に、虚ろな瞳を向け頷くしかなかった。




救難を望む人間へ残酷に微笑む最果て
真っ暗な場所で一人膝を抱えて蹲っていた。顔を上げてもそこには黒しか映らないと知って、顔を上げることはなくなった。いつからこうしているのだろうか。生れ落ちてから今現在までずっとこうしているはずはないのに、そうかもしれないと思ってしまう自分がいた。

不意に名前が呼ばれた。誰の声だろうか。そう考える間も惜しいと言わんばかりに「花京院」声の主の名前が唇から零れ落ちた。
「何処にいるの、」
「ここにいるよ」
「うそだ。だって、見えないよ」
「当たり前だろ」
くすり、と彼は見えないところで笑った。もしかしたら、ああ、もしかしたら、目の前にいるのかも、しれない。(けれどどうしたことだろうか。やっぱり目の前が真っ暗で、何も見えない)手を伸ばせば、やはりその手は、宙を泳いだ。
「だっての目がおかしいんだから」
そして、彼の温かな手があたしの両頬を包んだ(気がした)




救命すべしは愛しき我が体温
いくら己を両腕で抱いても、抜け落ちていく体温はひたすらにあたしにさようならを告げていった。ああ、いかないで。そう呟いたなずの唇すら、もう血は通っていないように硬くて、動かすことができなかった。こんなとき、彼の名前すらも呼べないなんて。此処は地獄なのだろうか。
ま るで零れ落ちていく砂のように、隙間から体温は奪われていった。とうとうこの闇はあたしを殺すつもりなのだ。
「かきょう、いん」
たったの一言だけでいい。最後にこの喉を伝うのが彼の名前ならば、あたしは耐えよう。ぐ、と強く目を瞑ったあたしの耳に、彼の声が響いた。
「うそつき。そんな人間じゃあ、ないくせに」






救世主は死に至る
逃げて逃げて逃げて逃げて、それでもあなたはそこにいる




(080324//花京院//ホラーかちくしょう。もう少し練習しますサーセン!!)