あなたは笑う。
あまりにも楽しそうに笑うものだから、私は首を傾げて彼の名前を呼んだ。
「晋助様、」その声は震えていた。ここはとても寒いのだ。
「なんだ、お前ぇ。そこにいたのか」
ああ、震えてしまう。寒い。体が、震える。頭の中で何かが暴れだしていた。
おかしい、これは、何かが違う。私は一歩だけ後ずさった。
彼が怖かったのではない。寒かったからだ。
「なに逃げてんだ、
にんまり。唇が歪む。気持ちが悪い。晋助様、晋助様。
目の前で笑うその顔は、確かに私が望んでいたそれであった。けれど、けれど。
「俺が、好きなんだろ」
「晋助様」
「てめェの親と俺なら、俺を取るんだろ」
「晋助様、私、わたしは、わたし、」
、おめェは俺のために、」
その先は聞きたくなかった。彼の口からだけは、決して。
「やめて」と私は叫ぶ。心底愛しい彼が、とても、憎くて、仕方がない。
こわい。ああ、私は、恐い。
「俺のために、死ねるんだろ」
彼が私にこの言葉を投げつけることが、彼が私を切り捨てることが、私が彼を憎んでしまうことが、私の中の彼が彼でなくなってそのうち消え失せてしまうことが、恐い。
「なァ、
私は、恐ろしく、彼を愛していただけなのに。
まほろばにて